笑顔

どうしたの?もっと強くなって、もっと僕を笑顔にしてよ。


ン・ダグバ・ゼバのセリフだ。クウガのラスボスであり、実質最終回でのクウガとの殴り合いのインパクトたるや…もちおは見ているだけで涙が止まらなかった。


ちょっと前に、動画サイトで最終回2話を見返したのだ。やっぱり凄いな…考えたらダクバのまともな戦いって、この48話での何分間かしか無いのに、凄いインパクトだ。最強の敵なのに、武器も超能力も放棄して殴り合い、という理由もあるだろう。途中でお互いキーアイテムのベルトが壊れ、生身での殴り合い、という演出もある。が、


その時の五代雄介(演・オダギリジョー)は暴力そのものへの嫌悪感から泣き顔、ダグバ(演・浦井健治)は楽しさから笑顔、という今も語り継がれる描写が、1番のインパクトだともちおは思っている。


人を…相手が倒れこむ程、思い切り殴った事がある人は、今の日本には少ない。少ないはずだ。そんな統計を見た事は無いけど。もちおだってない。


きっと、嫌な感じがするだろう。相手に勝った!なんて思わないだろう。ボクシングのプロが相手を倒すのとは違う。素の拳で相手を殴り倒す…そんな経験をせずに生きてこれた事に、もちおは感謝している。


男も、女だってケンカの一つぐらいする。全く争いがゼロの人生なんて無いし、健全でもない。しかし、相手を叩きのめすまでやってはダメなのだ。なぜダメなの?と未来に自分の子供に聞かれたら、もちおはブルーレイでクウガを全話見せようと思う。虐待やな。


人なら、人だから、話し合う事で理解し合える。とんでもなく綺麗事だが、それがクウガが当時の子供たちに伝えてくれた事の一つ。もう一つが、正義と信じるモノのためであっても、力を振るうなら、それ相応の応報、結果が待っているという事。


最初の脚本では、最終決戦の後、五代雄介は死ぬという結末だったらしい。それはあんまりだとキャスト、スタッフからの声が上がって、そこを変更したそうだ。それは正義のためであっても、力を力で制した者に罰が下る、タダではすまないというメッセージであったろう。


大人としてこのドラマを視聴する今は、確かにその悲しい結果はしっくりくる、とは思う。しかし、仮面ライダーはあくまで子供向けコンテンツだ。何度も書くが、ヒーロー番組は教育番組であって欲しい。現実はグロンギ、怪人よりどうにもならない事でいっぱいだ。なればこそ、ライダーは綺麗な理想であって欲しい。だからこの優しい結末をもちおは支持する。


ところでさっきからもちおの同僚、ツブヨがうるさい。もちおの喋りのモノマネだろうが、何のセリフなのか「ワカイコ、ワカイコオネガイシマス。シカモポッチャリ」だと。何を言っとるのか。すでに拳を使う時が来たのかもしれん。